春の花を代表するチューリップ。
秋に球根を植えて春に咲くのを楽しみにしてたのに、「想像してたのとちがぁ~う!」という経験はありませんか?
6月の今頃、ちょうど反省会を終えてる頃かと思います。
いえ、10年前の私がそうなんですけどね…。
花壇いっぱいに咲き誇るチューリップ。そんな景色を夢見て奮発したのに、咲かない、育たない、ヒョロヒョロしてて元気がない。。。
初めてのチューリップ栽培の結末はそんな感じでした。
失敗体験から奮起し、2年目以降はなかなかいい感じにチューリップたちが咲いてくれるようになりました。
今回は、その体験談をまとめたいと思います。
1年目のチューリップは間違いだらけ?
球根って、土に植えたら勝手に咲くもんだと思ってたんですが、実はそんな甘いもんじゃないんですよね。
特に引っ越して最初の一年は、庭のどこに陽が当たって、どこが日陰になるかなど、庭自体を把握できてなかったんです。
全体的に日当たりの良い庭だったので、日照不足になるなんて考えてもみませんでした。
ところが同じ花壇でも、右端、左端、壁際などでは日照時間が全く違うし、四季によっても陽の射し方が違います。
そういう基本的なことを、最初は本当に何も考えてませんでした。
1年目の失敗は、
- チューリップのことを知らなかった。
- 自分の庭のことを知らなかった。
肥料問題や水問題は耳にしますが、個人的にはこの2つの要因が大きかったように思います。
チューリップを知ろう
チューリップに気持ちよく成長してもらい、元気な花を咲かせてもらうには、チューリップを理解しておく必要がありました。
チューリップはどこで生まれたか
「チューリップ? そんなの、オランダでしょ!」
な~んて答えたそこのアナタ!
甘ーいっ!!
『水車とチューリップ畑』なんて鉄板のイメージから、誰もがオランダの花だと思いがちですが、実際の 原産国はトルコ なんです。
厳密には、トルコ、イラン、アフガニスタン、カザフスタンなど、中東から中央アジアにかけて広がる北緯40度線に沿った一帯だといわれています。
後にヨーロッパへ伝わり、爆発的な人気が出て高値で取引きされるようになります。
オランダの気候がチューリップ栽培に適していたため、外貨獲得の目的で オランダが生産 を手掛けるようになり、一大産地となりました。
球根の価格が高騰したあとに一気に暴落するという『チューリップ・バブル』という現象まで起きたものの、その間もオランダでは様々な品種改良が進められていました。
ナント、今では登録されてるチューリップだけで5000種類を超えるそうですョ。
下に、わかりやすいマップ動画を作成してみました。
緑のポイントラインを見ていただくとチューリップの故郷がわかりやすいと思います。
日本のチューリップと言えば新潟県と富山県のイメージですが、球根の生産では富山県砺波市が特に有名ですね。
チューリップを国花としている国々は?
イラン、アフガニスタン、オランダ、トルコ、ハンガリーだね。
チューリップに適した気候とは?
チューリップが自生する地域は高原地帯です。高原といえば 涼しくて水はけの良い土地 です。そこに自生するチューリップは 涼しく、適度に水分のある場所が好きな植物 だということがわかります。
また、自生地といわれる一帯をグーグルアースで見てみると、冬は雪に覆われる土地であることもわかります。
オランダはヨーロッパの中でも北に位置していますが、大西洋には北大西洋海流という暖流が流れている影響で、比較的温暖な土地柄です。
とはいえ温かい時期の6月~9月でも平均気温が20度前後。12月~2月の一番涼しい時期の平均気温は5度前後と、かなり寒くなります。それほど降雪量は多くないものの、薄っすら積もる程度には雪が降る地域です。
日本の中でも比較的涼しい日本海側、しかも雪の多い富山県で栽培が盛んだというのもわかる気がしますね。
また、オランダは国土の4分の1が干拓地で地下水が豊富です。湿り気があり、水はけの良い土壌を好むチューリップにとっては非常に都合の良い土地柄だというわけです。
自生地や一大生産地の気候からわかることをまとめると、
こうしてチューリップが良く育つ環境として見てみると、逆に『暑さと乾燥は苦手』だということがわかってきます。
考えてみれば、プランターに植えたチューリップを冬の間は『庭の中でもよく陽の当たる場所に置いてあげた』んですが、チューリップから言わせれば「むしろ迷惑…」だったみたいです。
「寒さにあてる」ことが大切!
チューリップに限らず、花を咲かせる植物は花芽を付けることが大切です。
花芽をつける条件は植物によって異なっていて、必要な条件を満たさないと花芽は付きません。
これもガーデニングを始めた頃は知らなかったことで、ツツジやアジサイなど、色々とやらかしてしまいました~ ( ノД`)シクシク…
それではチューリップが花芽を付ける条件とは?
それが『寒さにあてること!』なんです。
原生チューリップが自生する地帯の冬を思い出してみましょう。
薄っすらと雪が積もるような寒い地域。そんな場所で、チューリップたちは球根の姿で地下に眠り、春を待つ間に花をつける準備をするわけです。
この「寒さ」こそがチューリップが花芽を付ける条件になるんです。
その気温というのが「約5℃」と言われています。
桜がある一定の累積温度を超えると開花するって話を聞いたことがありませんか?
植物にはそれぞれ開花のメカニズムというのがあって、チューリップは5℃くらいの寒い時期を1か月以上経験することで花芽が付くようになっています。
このことを理解したうえで、植える場所やプランターを置く場所を考えるといいですね。
私の住む地域は関東地方の平均的な気候地域です。毎年普通に寒くなるし雪も降ります。なので地植えのものに関しては春になったら十分陽の当たる場所を選ぶくらいでそれほど難しく考えてません。
問題はプランターに植えたもの。
最初の年は、プランターに植えたものは陽当たりを求めてあちこち移動するくらい気を使っていたのに、満足できる咲き方にはなりませんでした。
寒さが必要だと知り、我が庭はチューリップには暖かすぎたんだと反省し、冬の間は裏庭に置くようにしました。
そして芽が出た2月、表に移動してタップリ日光が当たるようにしたところ、ほとんどの失敗はなくなりました。
住む地域によって気候が違いますし、庭の日照具合も違います。必ずしも日陰に置く必要はないかもしれませんが、これまでに上手く咲かなかった経験がある場合は、一度自分の庭の特徴を観察して状況を把握したうえで、置き場所を考えてみてください。
『花芽』というのは、生長して花になる芽のことだよ。
『芽が出て膨らんで、花が咲いたら、じゃんけんぽん』のアレね。
水遣りの度合
気を付ける点は『水やり』です。
地植えの場合は植え付けの際にタップリ水を与えます。そのあとは余程のことがない限りほったらかしでも大丈夫です。
鉢植えの場合、水の遣り過ぎは球根を腐らせたり病気になる原因にもなります。
乾燥が苦手なチューリップですが、せっせと毎日水をあげるよりも、土の表面が乾いたら水をあげるくらいで充分です。
ただし霜には弱いので、冬の水やりは夕方は避け、朝に行うようにしましょう。
特に日陰に置くと存在を忘れがち。毎日チェックすることを日課にして成長を見守っていきましょう。
秋に植えてナンの変化もないままの3か月は不安ですよね。だけど2月の初めごろに鳥のクチバシのような芽が生えてくると、ワクワクが止まりません。
芽が出たら陽の光をタップリと!
鉢植えチューリップが咲かなかった原因が「寒さを経験できなかったこと」だとすれば、地植えのチューリップが咲かなかった原因は「日照不足」でした。
これは、同じ花壇でも後方の壁際に植えた球根の育ちが悪かったことから明らかです。
初夏に住み始めた新居は、いつでも太陽の光が差し込む気持ちのいい庭…に見えてました。
ところが冬になると太陽の角度が変わり、花壇に日が当たる時間が想像以上に短いことが発覚。しかも壁際はほとんど日が当たってませんでした。これは盲点でした。
そのため、2年目以降は壁際を避けるように球根の配置を考えるようになりましたし、別の場所を選んだりしています。
むしろ自由な配置を楽しめるという点で、チューリップは鉢植えで育てるほうが多くなったくらいです。
このように、チューリップのことを改めて調べた内容と失敗の経験から学んだことをまとめると、次のようになります。
見よ! この違い!!
勢いで植えて勢いに散った1年目と、その後の成果の違いはあきらかです。
1年目の成果?
6球植えたはずなのに1つしか咲かない…
やけに弱々しい…
株が弱いせいか、虫がつく。
仕方ないので、ある程度状態のいいものを寄せ集めて花瓶に差しました。
『寄せ植え』じゃなくて、寄せ集め。
寄せ集めても、なぜか寂しい…。
それがガーデニングを始めて最初に迎えた春でした。
学習後の成果!
今は八重咲きやフリンジ咲きなど、ゴージャスなチューリップが増えたおかげでバラにも負けない華やかなアレンジができます。
このチューリップたちを自宅の庭から集め放題。
コツさえ掴めば、チューリップ栽培はバラよりもずぅ~っと楽です。
これを経験すると、チューリップ栽培はやめられません。
八重咲きの場合、外側の花弁がクタァ~っとなっても
外側を剥いちゃえばまた蘇る魔法が使えます…笑
最後に…
チューリップの植え方に関しては、一般的な方法で大丈夫です。
ただ「教科書では教えてくれない」ばりに『寒さ』と『水やり』のことは意外と書かれてません。
よく「チューリップは寒さに強い」と書かれていますが、「寒さの中で育つ植物」だと理解したほうがいいと思います。
寒さのおかげで花芽が付き、春を待って一気に開花する花です。
チューリップが本来育つ環境に近づけることが、元気で美しいチューリップが咲く条件だと考えて自宅の庭を観察してみてください。
そうすれば、どこに植えるか、どこで冬を過ごさせるかが見えてくると思います。
そして、ぜひ次の春には満開のチューリップに囲まれる幸せを体験していただきたいです!
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