我が家のシンボルツリーはヒメシャラです。
15年前に植えた当初は幹も枝も細く、それこそ葉が「シャラシャラ」と揺れて夏は爽やかな木でしたが、年月を経て随分と貫録を増しました。
8月のこの時期、上に伸びる、葉が茂る…。別の木か?と思うほどモッサモサです。
この木がツバキ科だと理解して選んだかどうかは記憶が定かじゃありませんが、イヤというほどそれを思い知ったのは、木を植えてから1年後でした。
春、庭のあちこちを同じ姿の小さな毛虫が歩いてました。発生元をたどったところ、お隣との境界にあるブロック塀に、みっしりと毛虫の集団が固まっていました。
「なんじゃコリャ~!!!!」と驚いてお隣に飛び込むと、状況把握した奥さんが慣れた感じで殺虫剤を撒き、後で処理するから触らないでね~という感じで一件落着しました。
その時はお隣任せにしちゃいましたが、まさか同じ毛虫が再び発生するとは…。しかも、今度は我が家のヒメシャラで大発生しちゃいました。
ヒメシャラはツバキ科
玄関横に植えたシンボルツリーのヒメシャラ。シマトネリコやソヨゴと並んで人気の品種です。
落葉樹なので、夏と冬の景色を変える魅力があります。新緑や、初夏に咲く白い花が美しく、樹勢がおだやかなので育てやすいと言われています。
できるだけ虫の付きにくい品種を探したつもりなのに、当時は今ほど情報がなかったのかなー?
実際に育ててみると、チャドクガのほかに、コガネムシの被害もかなりありますよ。
我が家のヒメシャラにチャドクガ発生!
玄関回りのお掃除をしているときのこと。はじめはポツ、、、ポツ…と目立たない黒い点が落ちてるだけでした。
「何だろコレ?」とは思うものの、ホントにただの点なので、気にすることも無くホウキで履いて捨てていました。
ところがある日、様子が激変。
ポツポツどころじゃない、「何これーーーっ!」と悲鳴をあげたくなるような大量な糞が、ヒメシャラの株元に広がっていました。
見上げて目を凝らすと、春に見たのと同じ毛虫の集団が、ヒメシャラの葉の一部にビッシリと整列していました。それはもう見事!というくらい、きれいな整列具合でした。
ここで初めて毛虫の正体がチャドクガの幼虫だということを知りました。そして、、、
残念なことに、ヒメシャラがツバキ科の木だったことを、このことで初めて認識しました。
毛虫が発生する木といえば、ツバキ、サザンカには気をつけろ!…くらいの感覚は持ってたんですよ。だけど、「○○科」まで気にして考えたことが無かったんです。
ヒメシャラがその仲間だったとは…。
チャドクガの豆知識
チャドクガは漢字で書くと『茶毒蛾』です。
元々、お茶の葉によくつく毛虫だったのでその名前が付けられたとか。
茶の木(チャノキ)の学名はCamellia sinensis(カメリア シネンシス)で、カメリアはツバキ科ツバキ属植物の総称になります。
見た目の違う植物が「○○科」と分類されているのにはしっかり意味があるんだなぁ~というのは、こういう害虫問題を考えるとハッキリわかりますね。
チャドクガは、お茶の木、ツバキ、サザンカなどのツバキ科の植物に卵を産みます。卵が孵化して幼虫(毛虫)になると、集団で生活します。
葉の裏に集まっているので、下から見あげるように探してみてください。
幼虫は数回の脱皮を経てから蛹になるのですが、その時に集団から離れて個々に地面へ降りて行き、蛹になる場所を探し始めます。
そのため、駆除するなら分散する前の、集団で固まってるうちに作業するのが一番です。
注意しなければならないのは、このチャドクガの針が毒を持つことです。
厄介なことに、チャドクガは卵、幼虫、蛹、成虫と、全期間を通じて『毒針毛』を持っています。さらには死骸ですらその針が残ってるんです。これに触れると激しい痒みやかぶれに見舞われます。
危険を感じると体を振って毒針毛を飛ばすので、近づく際は注意が必要です。
発生時期
チャドクガの発生時期は春(4~6月)と夏(8~9月)の年に2回です。
春の発生は、前年から越冬した卵が孵化したものです。その幼虫が成虫になって産み付けた卵が夏の発生に繋がる…という具合に、グルグルと成長サイクルはまわっています。
この幼虫発生のタイミングを覚えて、早めに予防剤を撒いておくのがミソです。
毒針毛に触れた場合の対処
毒針毛に触れたと思っても、手で振り払ったりしないでください。かえって被害を広げます。
その際は、まずは水で洗い流すのが一番です。この時もこすったりせず、水の流れに任せましょう。
かぶれやかゆみには、抗ヒスタミン軟膏で対応します。症状がひどい場合には、直ちに皮膚科を受診してください。
目に被害を受けた場合は、水で充分に洗い流した後、眼科を受診してください。
我が家での予防&駆除
ヒメシャラは、ツバキ科の中では珍しく落葉樹です。そのせいか、春にチャドクガを見た記憶はあまりありません。我が家でチャドクガを目にするのは大抵9月です。
ただ、油断禁物なので、足元に「黒い点(糞)」が落ちてないかは常に気にするようにしています。
一番は「発生させない」ことなので、まずは予防から始めましょう。
予防
チャドクガの発生を予防するには、発生時期を把握して殺虫剤を撒いておきます。早すぎても遅すぎても効果が薄くなるので、ちょうど孵化する時期を狙います。
春は、越冬した卵が孵化する4月頃。夏は次の孵化時期の8月頃。幼齢の時期ほど薬は効きやすいので、孵化した時に薬が撒かれていれば、その年にチャドクガを見なくて済みます。
我が家ではヒメシャラの株元にオルトランを撒いています。
チャドクガの卵が孵化したての幼齢期を狙う
- 春 = 4月頃
- 夏 = 8月頃
集団を発見したら…
ヒメシャラの周りに糞を見るようになると、残念ながらすでに孵化した後と思われます。慌てずに、じっくり観察して、まずは居場所を確認します。とにかく分散する前に見つけることが肝心です。
ここで焦って殺虫剤を振りまいてはダメ!
弱った毛虫が糸を垂らしながら落ちてきて、それが風に揺られて大騒ぎ…なんてことがありました。
作業に入る前、マスクや手袋などで完全防備。服装はニット系のものは避けたほうが無難です。
枝ごと切り落とす
まずは冷静に観察しましょう。
集団が固まっているなら、その葉がついてる手前の枝から切り落とすことを考えます。
葉っぱ1枚だけ…なんてケチなことを言ってちゃダメ。危険な目に遭うだけです。
手の届く位置なら、先に大きめのビニール袋をそぉ~っとかけておくといいです。慎重に手前の枝ごと高枝切りばさみで切り落としてしまいましょう。
バサバサやって毛虫たちを刺激しないようにしましょうね。
切った枝を運んだり置いたりする時も慎重に!
殺虫剤を使う
安全な距離が取れて、確実に毛虫に薬をかけられる…というなら、ジェット噴射ができる殺虫剤もあります。ただし、くれぐれも作業は慎重に行ってください。
自分の目線より上にあるような場合はお勧めしません。
準備ができたら距離をとって風上に立ち、噴射しましょう。この時、ジェットの勢いで毛虫が飛んでしまうこともあるので、周囲に人がいないことも確認しましょう。
スプレーで固める駆除方法
おすすめは、金鳥 チャドクガ毒針毛固着剤を用意しておくことです。
毛虫用の殺虫剤を使うのは効果が早く、その後の予防効果もあって便利だと思うのですが、死骸にも毒針毛が残るチャドクガにはリスキーだというのも経験しました。
そこで、我が家が手放せなくなっているのがチャドクガを『固める』スプレーです。殺虫成分は含んでませんが、先に毛虫を固めてしまい、動かなくなったのを確認してから枝を切り落とすことができます。
瞬間的に固まってしまうので、噴射式の殺虫剤を使った時のような予期せぬ動きをされることがなくて安心できます。
これは分散した毛虫にも使ってます。
シンプルですが、意外とこれが一番手がかからなかったりします。
ヒメシャラの剪定
葉が茂り過ぎていると、チャドクガの気配を感じても見つけることが難しくなります。発生した時の処理を楽にするためにも、できるだけ剪定しておくことをお勧めします。
特に定植して5年も経ったヒメシャラは、当初言われた『樹勢が穏やか』とは思えないほど上へ、上へと枝を伸ばします。高い位置に住み着いたチャドクガの処理は素人には手に負えません。
ヒメシャラの剪定時期は落葉した10月~3月が適期です。この時期に、できるだけ枝を整理して夏に備えておきましょう。
最後に
最初の何年かは、まさか連続で発生するとは思ってなかったので、予防的に薬を撒くことはしていませんでした。
何度か続くとさすがに反省して薬を撒くようになりましたが、別の場所で発生したらしい幼虫が、我が家に越境してくることがあります。
あれは、やっぱりヒメシャラをかぎつけて寄って来るんでしょうか?
そうなると、ますます予防は欠かせないですね。
幸い我が家の住人が直接チャドクガの被害を受けたことは無いのですが、被害の話や写真を見ると、絶対イヤだなと思います。
あの、ドッキドキの枝下ろし作業もできれば二度とやりたくありません。
そのためにも、予防も駆除も、とにかく早め早めに対応することが肝心ですね。
場所や時期によっては、素人が無理して作業をするのが難しいこともあります。そんな時は、迷わずプロに相談してみることをお勧めします。