テレビから流れる涼しげな緑のカーテン。「誰でも」とか「かんたん!」という言葉が溢れているので、自分にもできると思って始めた1年目。結果は撃沈でした。
ぜんぜん咲かなかったわけじゃないんですよ。ただ、思い描いていたイメージとは別物の、ヒョロヒョロ~っと弱々しい朝顔が成長しただけでした。
朝顔に対する誤解や知識不足を反省し、2年目以降は準備段階から気合を入れました。
『朝顔の育て方』と検索すれば、いくらでもその方法は見つかります。ただ、ガーデニング初心者にとっては些細なことでもつまづくもので、それこそ経験してみないと気づかなかったことばかりです。
そこで、こちらの記事では『初心者的つまづきポイント』も織り交ぜながら、朝顔のグリーンカーテンを作る手順と注意点をまとめてみたいと思います。
日本朝顔 vs. 西洋朝顔
朝顔には、日本朝顔と西洋朝顔があります。
花の咲く時期が違う
日本朝顔と西洋朝顔の大きな違いは、花の咲く時期です。
日本朝顔は7月から咲き始めますが、西洋朝顔は9月以降が花の咲く時期になります。
西洋朝顔の中でも人気の高いヘブンリーブルーは、「あの美しいブルーが見たかった」と期待して始める方も多いと思いますが、夏場に見られないことでガッカリするかもしれません。
経験上、7月にも花を咲かせることがありますが、その数はとても少ないです。下手をすると「育て方を間違えた」と焦って肥料を与え過ぎたり、夏の終わりとともにカーテンを片付けてしまう方もいるのでは?
まずは、西洋朝顔の最盛期は9月以降だ!と認識しておいてください。
なんだ、夏休みに花が見れないんだ…とお嘆きの場合は、日本朝顔と西洋朝顔の両方を育てるか、少し開花期の早いスカーレットオハラを混植するといいかもしれませんね。
グリーンカーテンに向いてるのは?
『グリーンカーテンには、生育旺盛でツルがよく伸びる西洋朝顔が向いています。』
というのが王道のはなしですが、何度か育てるうちに少し違う感覚を持っています。というのは、西洋朝顔が育ち過ぎるきらいがあるからです。
ご近所で、それはそれは上手に育てているお宅があり、そちらでは日本朝顔を使っていました。
問題は『縦』の成長にある気がします。
二階まで伸びるような大きなカーテンには西洋朝顔の旺盛さが必須ですが、店先の軒下など、コンパクトでさわさわと風が抜けるような優しい雰囲気を求めるなら、日本朝顔のほうが向いてる気がします。
西洋朝顔じゃなければグリーンカーテンができないのではなく、西洋朝顔のほうが1つの苗で広い面積にツルを行き渡らせることができるのです。そのことを考慮してどちらかを選ぶと良いと思います。
地植え vs. プランター
朝顔を育てるには地植えとプランターとどちらがいいか?という問題がありますが、初めてチャレンジする場合はプランターをお勧めします。
朝顔を健康に育てるにはなんといっても良質の土が必要です。
地植えで育てる場合は、苗を植える1週間ほど前には土づくりを始めておく必要があります。土の性質によっては土壌改良も必要で、なにかと面倒です。
その点、プランターなら最適な配合が施された花用の培養土を使えばいいので、最初のハードルがグッと低くなります。
また、置く場所を選べるのもプランターの良さです。
プランターだと大きく育たないのでは?という心配もあるかもしれませんが、きちんと管理すれば、プランターでも立派なカーテンを作るまでに育てられますよ。
準備するもの
- 朝顔の種 または、苗
- プランター
- 西洋朝顔は深さのあるプランターがお勧めです。
- 横幅60~65㎝のプランターなら2株がベスト。
- 軽石
- 花用培養土
- プランターのサイズによって必要な容量は変わります。
- 元肥用の緩効性固形肥料
- 培養土によっては元肥が配合されているものもあります。
- 追肥用の速効性液体肥料
- ガーデンネット
- グリーンカーテンを作りたい場所の面積に合わせてサイズを選びましょう。
- 自然素材の麻紐なら、後片付けが楽になります。
- 支柱
- ガーデンネットをピンッと張るのに使う支柱です。
- ネットの上下に通すので、2本用意します。
- 物干し竿を利用すれば、1本分節約できます。
- S字フックなど、ネットを軒下に吊るす部材
- グリーンカーテンの設置場所に合わせて、必要なものを用意します。
西洋朝顔の成長&管理スケジュール
最初に、西洋朝顔の成長&管理スケジュールを把握しておきましょう。
- 前準備土の準備をする。
地植えの場合は、植え付け1週間前には土の準備をして寝かしておきます。
- 5月上旬~
6月いっぱい種まきをする。 - 種まきから
5日後前後間引きする。双葉が出始めたら状態の良くないものは取り除き、強そうなものを残します。
- 6月~7月本葉が3~4枚になったら定植する。
定植と一緒にネットを設置。 - 6月~7月本葉が4~5枚になったら、摘芯する。
子ツルが伸びたら摘芯→孫ツルが伸びたら摘芯…という感じでツルが扇形に広がるように誘導します。
- 7月~9月中旬夏場は朝晩2回の水遣りをする。
朝はできるだけ早いうちに水やりします。
- 追肥をする。
- 7月~8月葉で覆われた状態になります。
- 9月以降西洋朝顔の花が咲く最盛期を迎えます。
スカーレットオハラは少し早めです。
- 10月地域によってはまだまだ元気に咲いています。
- 10月後半そろそろネットを片付ける時期です。
朝顔のグリーンカーテンを作ってみよう
1. 土の準備
なんと言っても大切なのは、良い土を用意するということです。
花用の培養土
プランター栽培の場合は花用の培養土を使いましょう。殺菌処理された清潔な土で、花の根がうまく育つように最初から配合されていて便利です。
最初の年、庭の土を使って大失敗したよ…
自分で配合する場合は…
- 赤玉土
- 排水性をよくするために使われます。
- 堆肥
- 落ち葉や家畜の糞を発酵させて作る堆肥は土壌改良剤として使われます。
微生物が豊富で土をふかふかにするのに役立ちます。 - 腐葉土
- 落葉広葉樹の落ち葉などから作られる腐葉土も土壌改良剤として使います。
土の保水性、保肥性、通気性などを高める作用があります。 - くん炭
- もみ殻や木くずから作られる土壌改良剤です。排水性を高めたり、消臭や雑菌の効果もあるということで、なにかと重宝されます。
コガネムシ、ナメクジ、ダンゴムシなどの害虫忌避剤としての効果もあるそうです。
元肥
苗を植える前に土と一緒に混ぜておく肥料のことを元肥と言います。苗が育つのに合わせてゆっくりと栄養を送るため、緩効性固形肥料を使います。
培養土に元肥が配合されていることがあるので確認をしてください。
2. 種を撒く
朝顔の発芽適温は約25℃前後と高温を好むので、5月に入ってから種を撒きましょう。
ジフィポットが便利
朝顔を種から育てる場合、花壇やプランターに直接撒く人も多いと思います。私も最初はそうでした。
ですが、ジフィーポットという発芽専用ポットを見つけてからは、これを使うようになりました。このポットに元肥の入っていない 種まき用の土 を入れて種を撒きます。
まだ使ったことはないではが、ポットそのものが培養土の役割も果たすジフィーセブンという商品もあります。
こうして発芽場所と定植場所を分けておくと、発芽の状態を確かめて、厳選してから植える場所を決められるのでお勧めです。
このジフィーシリーズが優れているのは、ポットごと土に植えられることです。
定植の時に根を傷つけるとその後の生育に影響することもありますが、これならその心配がありません。
発芽させるには水に浸けたり傷をつけるのが良いという解説を目にしますね。私は毎年同じメーカーの新しい種を買ってきます。種の袋には「発芽促進処理をしていますので、水つけ、傷つけ不要です」と書かれているので、なにもしないで種を撒いています。
発芽促進の作業の要・不要は、種の入手経路によって違ってくるのだと思います。
発芽までの水遣り&管理
発芽するまでの水遣りは、土が乾いてからにしましょう。霧吹きを使ったり、散水ホースならミストに切り替え、優しく水をかけます。
種まき後、5日前後で芽が出始めるはずです。
発芽するまでは日陰に置いても問題ありませんが、目が出たら太陽をタップリ浴びられる場所に置きましょう。
3. 間引き
双葉が出たら丈夫そうな芽だけを残します。不要な芽を取り除くときに丈夫な芽も抜いてしまわないよう、土を指で押さえながら抜くか、双葉の下をハサミで切るようにします。
番外編: 本葉が出るまでを観察
成長過程を確認するために写真を引っ張り出したので、写真によっては朝顔の種類が異なるかもしれません。
この写真はガーデニング1年目のものです。プランターには庭の土を集めただけという状態で、後から見れば、この時点ですでにダメな点が何点もみつかります。
なんと言っても本葉が出た時点で弱々しいです。土って大事!
4. 定植&ネットの設置
本葉が3~4枚くらいになってきたら、定植をします。
このくらいになると一気にツルが伸び始めるので、定植と同時にネットも張ってしまいましょう。
プランター
発芽した中から、丈夫そうなものを選んで定植します。
西洋朝顔は生育旺盛で秋まで花を咲かせるほどです。しっかりと根を生やしたいので、深さのあるプランターがお勧めです。
プランターに鉢底石を敷き、その上に花用の培養土を入れて苗を植えます。
何株植えるか?
西洋朝顔は苗と苗の間は30㎝の間隔が欲しいので、横幅が60~65㎝のプランターに2株がちょうど良いです。
ネット張りのポイント
朝顔の根を傷つけないよう、定植時にネットもセットしてしまいます。
始めはしっかり張ったつもりでも、朝顔の成長とともに重みで上のほうがタルンッとしてきます。そうしたネットにはツルが絡みにくいようです。
ネットをできるだけピンッと張っておくために支柱は2本用意して、上下でネットを通します。上の支柱の代用として物干し竿を使うのもいいですね。
台風や強風に備えて一時的にネットを下ろす必要がある場合でも、上に支柱があるだけで随分作業が楽になりなすよ。
ネットの編み目を交互に支柱に通すのがポイントです。
一般的には緑色の化繊でできたネットが使われていますが、自然素材の麻紐ネットも販売されています。土に帰る自然素材なら、後始末の時にそのまま朝顔と一緒に埋めることができるし、ゴミとして出す時に分別の必要がないという利点があります。
少し値段はアップしますが、見た目もお洒落になってお勧めです。
定植後の水遣り
本葉が出始め、定植するのは7月に入る頃だと思います。この時期は気温が急激に上昇するので、水遣りの時間帯も注意が必要です。
基本は早朝に水やりするのが理想です。
植物は太陽の光で光合成を行う時に水を原料に使います。その時に水不足だと十分に光合成が行えなくなってしまうのです。そこで、朝のうちにタップリ水をあげるのはとても大事なことなのです。
また、与えた水が温められてしまうと、根を弱らせる原因にもなります。夏場は8時前には水遣り作業を終えるくらいがいいです。
プランターや鉢に植えた朝顔の場合は、夏場は朝晩の2回が必須です。
時間的に難しいという場合は、自動散水機能を取り入れるのもいいでしょう。
地植えの場合は毎日の水遣りは必要ないと言いますが、猛暑や雨が降らない日が続く場合などで、明らかに水が足りてない時は、状況に合わせて対応してください。
5. 摘芯
摘芯(てきしん)というのは、植物の成長を促すために芽の先端を摘み取る作業のことです。
先端を摘み取られた植物は、自己防衛が働いて別の場所から成長しようとします。この現象を利用して上手く脇芽を増やすと、よぉ~く葉の茂ったカーテンを作ることができます。
1年目の大失敗…。この摘芯を知らなかったばっかりに…。
上にばっかり伸びる、ヒョロヒョロした朝顔になってしまいました。
摘芯してみよう
双葉が出で喜んでいると、次は形の違う本葉が出てきます。本葉が4、5枚になった頃、親ツルの先端3~4センチほどを摘み取りましょう。
すると脇から子ツルが伸びてきます。
この子ツルも先端でカットすると、今度は孫ツルが伸びてきます。
どんどん繰り返すことができますが、子ツル以降はどの位置でカットするか、どの程度ツルを増やすかは、作りたいカーテンのサイズによって異なります。様子を見ながら調整してください。
ネットに対して扇形になるようツルを這わせるのが理想です。
出てきた脇芽を全部育ててしまうと、とんでもなく茂るか、蒸れて病気の原因になるかで良いことはありません。下のほうの脇芽は取り除き、孫ツルも元気なものを選んで伸ばしましょう。
ツルは指で簡単に摘芯できそうに見えますが、実際には繊維がしっかりしてるので「ツツツーッ」と下まで裂けてしまうことがあります。苗を弱らせる原因にもなるので、ハサミでカットしましょう。
剪定
うまく成長して勢いがつくと、驚くほどツルが増え、葉も茂ります。ネットからはみ出すようなツルは剪定してしまいましょう。
このとき、剪定した個所から白い液体(乳液)が出てきます。ベタベタしているので顔や衣服に付かないように気を付けてください。
6. 追肥
朝顔の種が入ってる袋を見ると、月に1回程度の追肥をするように記載があります。
この追肥のタイミングがわからずに悩む人も多いと思いますが、遅効性の固形肥料を使うか、速効性の液体肥料を使うかによって回数は変わってきます。
我が家の場合、プランターや鉢に植える場合は元肥の入った培養土を使います。種まき後に順調に発芽すれば、約3週間後にはツルを伸ばし始めますが、その時に苗が元気なら、そのまま様子見します。
環境次第、水遣り次第だと思いますが、しっかり根を張り、太陽の光と水が十分なら、わりと元気に育ちます。
そして、葉の色が薄い、葉に厚みが無い、全体的に元気がないという時や、花の色が薄いと感じたら速効性の液体肥料をあげるようにしています。
注意が必要なのは、希釈して使う液体肥料の希釈濃度です。
「濃いほうが効きそう!」と思いがちですが、実は濃すぎる肥料は植物を弱らせることがあります。容器に書かれた希釈濃度はしっかり守りましょう。
地植えしたものに関しては月に1回、固形肥料を置きます。
固形肥料は徐々に溶け出します。その栄養分は根の先端から吸収されるので、朝顔の根がどんなふうに地中で広がってるかを想像して、根の先端部分に肥料を置くようにします。
病害虫への対策
病気も害虫も、予防を心がければ防ぐこともできます。
病気予防と対策
病気予防には、太陽をしっかり浴びて風通しをよくすることが大切です。葉が茂り過ぎないようコントロールしてあげましょう。
病気の予防と対策には、殺菌剤を散布します。広範囲に散布する場合は希釈して使うタイプ、手の届く範囲ならスプレータイプが手軽です。
害虫予防
朝顔にはハダニがよくつきます。ハダニは水に弱いので、水遣りの際は葉の裏まで水を散布して予防しましょう。
葉を食害するイモムシ予防には、オルトランDX粒剤のように土に混ぜ込むタイプの予防薬剤を施しておきます。
まとめ
いかがでしょう。文章にすると長くなりますが、やるべきことが把握できていれば、結果的に日々の作業は水遣りだけということでもあります。
定植後、まずは摘芯でツルを増やし、ネット全体にうまくツルを誘導する。あとは水と追肥のタイミングを見定め、どちらも過保護になり過ぎないよう適度な量を心がける。
丈夫な朝顔に育てれば、朝の日差しを浴びた神々しい朝顔を楽しめるはずです。
西洋朝顔は夕方でも元気なので、西日に照らされた姿も美しいですョ!